遺品整理はいつから始める?
四十九日・3か月・10か月の期限で整理
葬儀が終わり、少し落ち着いたころ。「そろそろ片付けを始めたほうがいいのだろうか」と考えはじめる方は多いと思います。
結論から言うと、遺品整理を始める時期に法律の決まりはありません。ただし、相続の手続きや住まいの明け渡しには期限があるものがあります。
この記事では、法要の目安と法律上の期限を、亡くなった日からの時系列で並べました。そのうえで、急いだほうがいいことと、急がなくていいことを分けて整理します。
相続放棄を考えている方は、片付けや解約の前に、必ず「相続放棄を考えているなら」をお読みください。
遺品整理を始める時期に、決まりはない
遺品整理は、「いつまでに始めなければならない」と法律で決まっているものではありません。四十九日を区切りにする方が多いのは、親族が集まりやすく、気持ちの面でもひと区切りがつく時期だからです。
多くの人が区切りにする「四十九日」と「一周忌」
四十九日は忌明けの節目で、法要で親族が集まる機会に形見分けの相談をするご家庭もあります。気持ちが追いつかない場合は、一周忌(亡くなってから満1年)を目安にする方もいます。
四十九日の数え方
天台宗の説明では、亡くなった日を1日目として数え、その7日目が初七日です。四十九日も同じく、亡くなった日を1日目として49日目にあたります。ただし、宗派や地域によっては亡くなった日の前日を起点にする数え方もあります。日取りは、お寺や葬儀社に確認しておくと安心です。
浄土真宗では、四十九日の意味が少し違う
浄土真宗本願寺派では、四十九日(満中陰)までの法要は、亡くなった方への追善のためではなく、遺された人が悲しみから立ち直っていくきっかけと説明されています。「四十九日が過ぎるまで遺品に触れてはいけない」という決まりがあるわけではありません。
亡くなった日からの期限を、時系列で確認する
遺品整理そのものに期限はありませんが、相続には期限が決まっている手続きがあります。どれも遺品の中から書類を探す必要があるので、遺品整理と無関係ではありません。
| 時期の目安 | できごと |
|---|---|
| 7日目 | 初七日(亡くなった日を1日目として数える場合) |
| 49日目 | 四十九日(忌明け) |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認の申述 |
| 4か月以内 | 準確定申告(必要な人のみ) |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納付(基礎控除を超える場合) |
| 満1年 | 一周忌 |
| 3年以内 | 相続登記の申請(不動産を相続した場合) |
※法律上の期限は、亡くなった日そのものではなく、それを「知った日」などから数えます。詳しくは次の項目で説明します。
3か月以内 相続放棄・限定承認
借金などマイナスの財産を引き継ぎたくない場合は、相続放棄や限定承認を検討します。期限は「自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内」です(民法915条)。つまり、亡くなったことと、自分が相続人になったことを知った時から数えます。
申述先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。財産の調査が間に合わないときは、期間内に家庭裁判所へ期間の延長(伸長)を申し立てることもできます。
4か月以内 準確定申告
亡くなった方に、その年の確定申告が必要な所得があった場合は、相続人が代わりに申告します。これを準確定申告といい、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が期限です。源泉徴収票や年金の通知、医療費の領収書などが必要になるので、遺品の中で見つけたら別にしておきましょう。
10か月以内 相続税の申告と納付
相続税の申告と納付は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。たとえば1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が期限になります。申告が必要なのは、遺産の課税価格の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合です。
3年以内 相続登記(2024年4月から義務化)
2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人には、相続登記の申請が義務づけられました。期限は、自分のために相続が始まったことを知り、かつ不動産を取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由なく申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。
2024年3月以前の相続で登記していない不動産も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。期限内に「相続人申告登記」をすれば、ひとまず義務を果たしたことになります。
期限は「亡くなった日」ではなく「知った日」から
相続の期限はどれも、亡くなったことや相続人になったことを「知った日」などを起点に数えます。離れて暮らしていて知らせが遅れた場合などは起点がずれるので、ご自身の場合はいつから数えるのかを確認しておきましょう。
相続放棄を考えているなら、片付ける前に確認すること
ここは、遺品整理でいちばん注意が必要なところです。故人に借金があるかもしれない場合は、ほかの項目より先に読んでください。
遺品を処分すると、相続を認めたとみなされることがある
相続人が相続財産の全部または一部を処分すると、相続を承認した(単純承認)とみなされます(民法921条)。そうなると、あとから相続放棄をしようとしても認められないおそれがあります。家財を売ったり、まとめて廃棄したりする前に、いったん立ち止まってください。
調べること、保存することはできる
相続人は、承認するか放棄するかを決める前に、相続財産を調べることができます(民法915条2項)。財産の価値を保つための「保存行為」も、処分にはあたらないとされています。ただし、どこまでが処分にあたるかは、内容や理由によって個別に判断されます。
迷ったら、手をつける前に相談を
判断に迷うときは、家庭裁判所の手続案内や、弁護士・司法書士などの専門家に相談してから片付けを始めましょう。3か月の期限に間に合わない場合は、期間の延長を申し立てる方法もあります。
早めに動いたほうがいいケース
賃貸住宅に住んでいた場合
亡くなった方が借りていた部屋は、借りる権利も、部屋に残された物の所有権も、相続人に引き継がれます。そのため、契約が終わるまでは家賃の支払いが続きます。
解約を申し入れてから何日後に契約が終わるかは、契約書によって違います。まず管理会社や大家さんに確認し、明け渡しの日から逆算して片付けを進めましょう。ただし、相続放棄を考えている場合は、解約や部屋の片付けが「処分」にあたるおそれがあります。前の項目を確認し、先に専門家に相談してください。
公営住宅に住んでいた場合
公営住宅は、自治体ごとに扱いが異なります。たとえば都営住宅では、単身の名義人が亡くなった場合、1か月半程度で部屋を片付けて返還の手続きをするよう案内されています。お住まいだった自治体の窓口や管理者に、早めに確認してください。
相続税の申告が必要になりそうな場合
不動産や預貯金が多く、相続税の申告が必要になりそうな場合は、財産を把握するための書類探しが急ぎになります。通帳、証券会社からの郵便、不動産の権利証や固定資産税の通知書などは、ほかの遺品より先に探しておきましょう。
遺品は「急ぐもの」と「急がなくていいもの」に分ける
始める時期をひとつに決めようとすると、かえって手が止まります。遺品の種類によって、急ぐものとそうでないものを分けて考えると進めやすくなります。
先に探しておきたいもの
- 遺言書、エンディングノート
- 通帳、キャッシュカード、印鑑
- 保険証券
- 年金・税金の通知、源泉徴収票
- 賃貸住宅や携帯電話などの契約書
- 不動産の権利証、固定資産税の通知書
- 鍵
- スマートフォン、パソコン(パスワードのメモも)
これらは手続きや期限に関わるので、早めに一か所に集めておきましょう。
封のある遺言書が見つかったら、その場で開けないでください。家庭裁判所での手続き(検認)が必要で、家庭裁判所の外で開けると5万円以下の過料の対象になります(民法1004条・1005条)。公正証書遺言などは検認が不要です。
スマートフォンに残った写真の取り出し方は、「故人のスマホの写真を取り出すには?」で詳しく説明しています。
あとでいいもの
写真、手紙、日記、趣味の品、衣類などは、期限に追われるものではありません。判断がつかないうちは、無理に決めなくて大丈夫です。
気持ちが追いつかないときは
手をつけられない自分を責める必要はありません。期限のある書類だけ先に済ませ、思い出の品は一周忌を区切りにする、という進め方もあります。
写真や手紙は、期限と切り離して考える
退去の期限が迫っていても、写真や手紙、日記まで同じペースで判断する必要はありません。
思い出の品は、箱にまとめて手元に移す
片付けに期限がある場合は、写真や手紙だけを段ボールにまとめて、ひとまず手元に移しておきましょう。中身を選ぶのは、落ち着いてからで構いません。相続放棄を考えている場合は、持ち出す前に相続放棄の項目を確認してください。
データにして、家族で共有する
量が多い場合や、きょうだいで分けにくい場合は、データにしてしまう方法があります。データなら、離れて暮らす家族もそれぞれの手元で見られます。写真の残し方は「遺品の写真・アルバムはどうする?」で、日記や手紙の扱い方は「遺品の日記・手紙はどうする?」で詳しく紹介しています。
残し方を決めてから、現物を手放す
原本を手放すのは、残し方が決まってからにしましょう。順番を逆にすると、後悔が残りやすくなります。
よくある質問
遺品整理はいつから始めればいいですか?
四十九日の前に遺品整理をしてもいいですか?
相続放棄を考えている場合、遺品を片付けてもいいですか?
相続放棄の期限はいつまでですか?
賃貸に住んでいた親の遺品整理は、いつまでに終えればいいですか?
遺品整理に関係する相続の期限には何がありますか?
遺品の中から遺言書が見つかったら、開けてもいいですか?
まとめ
遺品整理を始める時期は、家族で決めて構いません。期限があるのは、相続の手続きと住まいの明け渡しです。そこだけは日付を書き出して、先に動きましょう。相続放棄を考えている場合は、片付けより先に専門家への相談を。
写真や手紙のように、時間をかけて決めたいものは、期限と切り離して考えてください。急いで手放したものは、あとから取り戻せません。
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ご相談は無料です。「遺品がどれくらいあるのか分からない」という段階で構いません。


