コラム ― 日記・手紙

遺品の日記・手紙はどうする?
捨てられないときの4つの選択肢

公開 2026.10.12 / 読了 約9分 / 文:メモリアム編集部

木の机の上で開かれた、何も書かれていないノート

遺品整理で、写真よりも手が止まりやすいのが、日記や手紙、手帳といった「文字のもの」です。ページを開けば、故人の声がそのまま聞こえてくる気がするからかもしれません。
この記事では、故人の日記・手紙を前にしたときの選択肢を、捨てる・残す・供養する・デジタル化する、の4つに分けて整理します。ごみの出し方や紙の保管方法、公開するときの注意点も、公的機関の情報をもとにまとめました。

写真やアルバムの扱いは、別の記事「遺品の写真・アルバムはどうする?」で紹介しています。この記事は日記・手紙・手帳・メモなど、文字が書かれたものに絞っています(2026年10月時点の情報です)。

まず、読むかどうかを決める

法律より、家族の気持ちの問題

個人情報保護法が守っているのは、生きている人の情報です。亡くなった方の日記を家族が読むことは、この法律の対象ではありません。読むかどうかは、法律よりも、家族それぞれの気持ちの問題になります。

読む人を決める。読まずに手放す選択もある

家族の何人もが別々に読むと、受け止め方の違いから気まずくなることがあります。読む前に、誰が読むのか、読んだあとどうするのかを話しておくと安心です。「故人は読まれたくなかったはず」と感じるなら、読まずに供養に出すのも、ひとつの答えです。

封のある手紙は、すぐに開けない

刑法には、正当な理由なく封のある手紙を開けることを罰する規定(信書開封罪)があります。遺族が故人宛ての手紙を開けることがこれにあたるのかを示した公的な解説は、見つけられませんでした。気になる場合は、開ける前に専門家に確認してください。なお、封のある遺言書は手紙とは別で、家庭裁判所での手続きが必要です。

先に確かめておきたいもの

日記や手帳には、口座や保険、貸し借りなど、相続に関わるメモが書かれていることがあります。処分を決める前に、ひととおり目を通しておく方が安心です。遺品整理の期限については、「遺品整理はいつから始める?」にまとめています。

選択肢は4つ

長年使い込まれ、表紙がひび割れた古い手帳
手元に残す、供養する、データで残す。選び方は一つではありません。
01

捨てる ―「可燃ごみ」とは限らない

費用:0円/手間:小/後悔のリスク:大

手紙やはがき、ノートは、資源として回収している自治体があります。たとえば札幌市は「雑がみ」、川崎市は「ミックスペーパー」として回収しています。

  • 住所や名前など個人情報の部分は、切り取る・塗りつぶすといった対応が案内されている
  • シュレッダーくずは、資源として出す自治体と、燃やすごみとする自治体(新宿区など)がある
  • 家で燃やすのはやめる。廃棄物の焼却は、法律で原則禁止されている

出し方は自治体によって違うので、お住まいの地域の分別表で確認してください。

02

原本のまま残す ― 数を絞って

費用:0円〜/手間:中/後悔のリスク:小

すべてを残そうとすると、置き場所に困って結局は手放すことになりがちです。故人らしさがよく表れた数冊、数通に絞って、劣化を防ぐ保管をしましょう。保管の方法は次の項目で紹介します。

03

供養する ― お焚き上げを頼む

費用:数百円〜数万円/手間:小/後悔のリスク:中

ごみとして出すことに抵抗があるなら、寺社にお焚き上げを頼む方法があります。頼み方は主に3つです。

  • 寺社に持ち込む(受付日と料金を事前に確認)
  • 郵送で受け付ける寺社に送る
  • 遺品整理の業者に、ほかの遺品とまとめて頼む

費用には幅があります。郵送を受け付けている寺院では定型郵便500円から宅配の大きな箱で10,000円まで、神社の郵送キットでは2,980円といった例がありました。持ち込みでは、金額を決めずにお気持ちで納める寺社もあります。業者にまとめて頼むと数万円になることもあります。料金は変わることがあるので、依頼先の公式の案内で確認してください。

04

デジタル化する ― 文字が読める形で残す

費用:0円〜/手間:自分でやると大/後悔のリスク:小

原本を手放しても、中身は残せます。データなら、離れて暮らす家族もそれぞれの手元で読めて、拡大すれば小さな文字や薄れた文字も読みやすくなります。ただし、文字が読めるように取り込むには、写真よりも少し気をつけることがあります。デジタル化の項目で詳しく説明します。

原本を残すなら、紙とインクを守る

紙もインクも、置き方しだいで傷み方が大きく変わります。国立国会図書館と国立公文書館の資料をもとに、家庭でもできることをまとめました。

湿度は65%以下、急な変化を避ける

国立国会図書館は、資料を低温・低湿で、温度や湿度が変わらない環境で保存することが望ましいとしています。湿度が65%を超える状態が続くと、カビが生えやすくなります。押し入れの奥や、結露しやすい窓際は避けましょう。

光で文字は薄くなる

国立公文書館の資料保存マニュアルによると、水性のインクは光や水に弱く、色あせやすいとされています。水性ペン(サインペン)の文字は、同じ場所にあった油性ペンの文字が残っているのに、ほとんど消えてしまった例もあります。ボールペンは油性インクなので、比較的長持ちします。鉄分を含むブルーブラックのインクは、時間がたつと紙を傷めることがあります。日の当たらない場所にしまっておきましょう。

クリップ・ホチキス・セロハンテープは外す

湿気で錆びたクリップやホチキスは、触れている紙ごと傷めてしまいます。セロハンテープも、時間がたつと茶色く変色します。長く残すなら外しておき、まとめたいときは紐や木綿の糸を使いましょう。

中性紙の封筒や箱に入れる

国立国会図書館は、保存に使う容器として中性紙の封筒や保存箱を紹介しています。古い洋紙の中には、時間がたつとぼろぼろになりやすい酸性紙もあるので、ほかの紙と重ねずに分けて保管すると安心です。

デジタル化するなら、300〜400dpiが目安

国立国会図書館の基準

国立国会図書館のデジタル化の手引では、保存用の画像は原資料に対して300〜400dpiとしています。白黒で文字を読むための目安は、文字の大きさによって次のとおりです。

文字の大きさ解像度の目安(白黒)
10ポイント以上150dpi
8ポイント以上200dpi
6ポイント以上300dpi
4ポイント以下400dpi

カラーで取り込む場合は、色によって読みやすくなるため、白黒よりやや低くてもよいとされています。手書きの日記や手紙は文字の大きさがまちまちなので、迷ったら300dpi以上で取り込んでおくと安心です。

スマートフォンで撮るときは

スキャナーがなくても、スマートフォンで撮影して残すことはできます。ページを平らにして、自分の影が入らないよう明るい場所で、1ページずつ真上から撮りましょう。

便箋だけでなく、封筒も残す

手紙は、封筒の差出人や消印が、いつ・誰から届いたものかを知る手がかりになります。便箋とあわせて、封筒の表と裏も撮っておきましょう。

崩し字や薄れた文字が読めないとき

くずし字を読み取る無料のアプリもあります(TOPPANの「古文書カメラ」、人文学オープンデータ共同利用センターの「みを」など)。ただし、どちらも古文書向けのもので、昭和の手書き文字が読めるとは限りません。まずは原本を傷めないよう保管し、高めの解像度で取り込んでおけば、あとから拡大して読み返すことができます。

見せたくない内容が書かれていたら

日記には、家族にも見せていなかった本音が書かれていることがあります。「全部残す」か「全部捨てる」かの二択にしなくても大丈夫です。

残すけれど、公開しない

データとして残しておき、家族のあいだでも共有しない、という選び方があります。時間がたってから読み返したくなることもあるので、手放してしまう前の中間の答えになります。

家族の一人が預かる。そのページだけ外す

代表して一人が預かる、気になるページだけ外して残りを共有する、という方法もあります。誰が預かるかは、家族で決めておきましょう。

存命の人が書かれているときは

日記に、今も生きている人のことが書かれている場合は、その人のプライバシーにも気を配る必要があります。家族の外に見せる場合は、特に注意してください。

手紙を公開する前に知っておきたいこと

ここからは一般論です。個別の判断が必要なときは、弁護士などの専門家にご相談ください。

紙は受け取った人のもの、文章の権利は書いた人のもの

文化庁は、手紙も条件を満たせば著作物になるとしています。手紙の紙そのものは受け取った人のものでも、文章の著作権は書いた人(差出人)にあり、原則として書いた人の死後70年続きます。故人宛ての手紙を記念サイトやSNSに載せるなら、差出人やそのご遺族の了解を得ておくのが無難です。

故人自身の日記や手紙を公開するとき

著作権法では、書いた人が亡くなったあとも、生きていれば権利の侵害になるような扱いは原則として禁じられています。作家・三島由紀夫の未公表の手紙を本に載せたことが争われた裁判では、公表を予期せずに書かれた私信だったことなどから、権利の侵害と判断されました。家族の中で読むことと、外に公開することは、分けて考えましょう。

迷ったら、公開しないで残す

判断がつかないものは、公開せずにデータとして残しておけば、あとから決め直すことができます。

判断に迷ったときの目安

こんなものはおすすめの扱い
長年つけていた日記、手帳デジタル化して、原本は数冊だけ残す
家族や友人からの私的な手紙デジタル化して家族で共有。公開はしない
見せたくない内容がありそうな日記一人が預かる、または読まずに供養する
仕事の書類、事務的な通知相続に関わらないか確認してから、個人情報を処理して処分
封のある手紙開ける前に家族で相談。気になれば専門家へ

よくある質問

故人の日記を家族が読んでもいいのでしょうか?
個人情報保護法は生きている人の情報を対象としており、亡くなった方の情報は保護の対象外です。読むかどうかは法律より気持ちの問題なので、読む前に家族で、誰が読むのか、読んだあとどうするのかを決めておくと揉めにくくなります。読まずに供養に出す選択もあります。
日記や手紙は可燃ごみで捨てられますか?
自治体によって違います。札幌市は雑がみ、川崎市はミックスペーパーとして、手紙やはがき、ノートなどを資源で回収しており、個人情報の部分は切り取る・塗りつぶすといった対応が案内されています。シュレッダーくずは資源とする自治体と燃やすごみとする自治体があるので、お住まいの地域の分別表で確認してください。
日記や手紙のお焚き上げの費用はどれくらいですか?
幅があります。郵送を受け付ける寺院では定型郵便500円から宅配160サイズ10,000円までといった料金の例があり、神社の郵送キットでは2,980円の例があります。持ち込みでは金額を決めずに納める寺社もあり、遺品整理業者にまとめて頼むと数万円になることもあります。
日記や手紙をスキャンするときの解像度は?
国立国会図書館のデジタル化の手引では、保存用の画像を原資料に対して300〜400dpiとしています。白黒の場合、6ポイント以上の文字なら300dpi、4ポイント以下の小さな文字なら400dpiが目安です。カラーならやや低くてもよいとされています。
故人宛てに届いた手紙を、記念サイトやSNSに載せてもいいですか?
一般論として、手紙の紙は受け取った人のものでも、文章の著作権は書いた人(差出人)にあり、原則として書いた人の死後70年続きます。公開する前に、差出人やそのご遺族の了解を得るのが無難です。個別のケースは専門家にご相談ください。
崩し字や色あせた文字で読めない手紙はどうすればいいですか?
原本を光と湿気から守ったうえで、高めの解像度でデジタル化しておくと、拡大して読み返せます。くずし字を読み取る無料のアプリや有料の解読サービスもありますが、アプリは古文書向けのため、昭和の手書き文字が読めるとは限りません。

メモリアムで日記や手紙を残すなら

メモリアムでは、お預かりした日記や手紙を一点ずつデジタル化し、ご家族へのヒアリングとあわせて読み解き、年表と物語にまとめた記念Webサイトをお作りします。日記30冊を読み解いた作品例もご覧いただけます(作品例は、架空の人物によるサンプルです)。

公開する内容は、すべてご遺族代表さまの承認を経てから掲載します。ほかの方が書いた手紙は、サイトには載せずにデータとしてだけ残すこともできます。非公開や匿名化のご指定も承ります。

メモリアム

日記や手紙を、
読める形で残しませんか

メモリアムは、遺品の写真・日記・手紙をお預かりし、故人の人生をひとつの記念Webサイトに編み直すサービスです。
箱に詰めて送るだけで、整理も分別も必要ありません。公開するかどうかも、ご家族で決められます。

ご相談は無料です。「遺品がどれくらいあるのか分からない」という段階で構いません。

参考にした公的情報